Without Words

 

※関係性が出来上がっている二人
 途中から地の文に「♡」が出てきます。ふんわり男性向けを意識したのでオノマトペ多めです。男の潮噴き描写有。気持ち強気屈強受け。

 ベスカー製のヘルメット同士が衝突する金属音に、周りにいた同胞たちはどよめいた。パズ・ヴィズラの頭突きがディン・ジャリンの額に直撃したのだ。ディンは仰け反ったが、勢いをつけて頭突きを返した。そのままふたりはもつれ合いながら壁に激突した。ついにヴィズラがディンを投げ飛ばし、起き上がったディンがバイブロナイフを抜いた。
 ふたりを眺めていた仲間のひとりが「あっ」と漏らす。
 ヴィズラもバイブロナイフを抜いて構えた。一気に距離を詰めたディンが凄まじい速さで腕を振ったが、彼は一閃を難なく受け止めた。高速振動する刃は何度もぶつかり合い、甲高い剣戟が反響する。
 ヴィズラがディンの蹴りを腹に喰らったが、びくともしなかった。
 同胞たちは顔を見合わせた。「止めた方がいいよな」「そうだな。あれは手合わせというか、殺し合いだよ」「でも、どうやって止める?」そして黙り込んだ。誰もがふたりの放つ殺気に圧されていた。
 不意に、空中で交わった二本のバイブロナイフが、弾けるように両者の手から吹っ飛び、大きく放物線を描いて飛んでいき、地面に落ちた。ディンとヴィズラの動きが止まる。殺気の幕が一瞬のうちに裂けた。同胞たちはごくりと喉を鳴らした。
 バイブロナイフが地面に落ちた時の金属音の残響が止み、静寂が戻ってきた。ディンとヴィズラは、武器を拾い上げてホルスターに収めた。
「動きが遅かったぞ。鈍ったんじゃないか?」
「お前こそ、なんださっきの腑抜けた蹴りは」
 ふたりはまるで「調子はどうだ?」とでも訊ねるような口調でいった。
「お前に投げ飛ばされたのはこれで何度目だろうな」
「数えていない。きりがないからな」
「そんなに投げ飛ばされているのか、俺は」
「ああ、そうだ」
「ハハッ、そうか」
 ぽかんとしている同胞たちに向けて揃って控えめに手を上げて挨拶をすると、ふたりは去っていった。
 同胞たちはまた顔を見合わせた。「なんだ今の」「あのふたりにとってはあれが手合わせなんだな」「また喧嘩かと思った」それから、安堵の溜息をついた。

 ベスカー製のヘルメットが重なる小さな金属音に、ディンは安心感を覚えた。ヴィズラの親しみのこもった頭突きがディンの額に触れたのだ。ディンは口端を緩めて、頭突きを返した。そのままふたりはもつれ合いながらマットレスに横たわった。ゆっくりとヴィズラがディンに覆い被さり、身を委ねたディンが腕を彼の広い背中に回した。
 折り曲げた膝裏を掴み取られ、足を大きく開かれる。股間のジッパーと下着が下ろされ、フライトスーツの中で緩く勃起していた蒸れた性器がまろび出る。ヴィズラも股間を覆う装甲を外して前を寛げた。そこはもう勢い付いて天井を向いていた。汗ばんだ男ふたりの体臭が立ち上る。
 手合わせのあと、ついお互い昂って、セックスがしたくなってしまった——どちらが言い出すわけもなく、揃って、当たり前のようにヴィズラ個人の住居スペースに足を運び、こうしてテント型のコフィン・ベッドに雪崩れ込んだ。
「パズ……」
 性的興奮を噛み砕き、ディンはねだるように、両足でヴィズラの幅広の腰を挟み込んだ。まだ前戯すらしていないのに、腹の奥が熱く疼いている。
「今すぐにでもナニをブチこんでやりたいが、お前のケツを壊すようなことはしたくない」
 腰を抑え込まれながらも、ヴィズラは四つん這いになって手を伸ばして、ランプ横の小振りなコンテナからディンが預けている潤滑剤を取り出した。蓋が開き、傾けたボトルから粘度のある液体が流れ出て、ヴィズラの指先に溜まりを作った。
 これからヴィズラを受け容れる孔に濡れた指が触れる。括約筋はすぐには指を受け容れなかった。ヴィズラの指は、慎重に、時間を掛けて孔をほぐし、腹を拓いていった。一本だった指が二本に増え、根本まで埋まるようになって、浅い場所で鉤型に曲げられた指に前立腺を何度も押し上げられ、ディンは呆気なく果てた。まだ一物を挿入されていないのに射精してしまったことが屈辱的だったが、ヴィズラには弱点を知られている。それに、与えられる快感をわざわざ我慢する必要もない。
 射精感に打ちのめされながら、ディンはヴィズラの股間に視軸を移した。太い血管を走らせて怒張した男の象徴は、ふてぶてしいくらい大きく長く、逞しい。張り詰めた亀頭の先は、滲み出た我慢汁でぬらぬらと照っている。圧倒的な雄の存在を前に、ディンは思わず身震いした。早く繋がってしまいたい……。
 ヴィズラは自身の根本を握ると、ディンの股座に亀頭を擦り付けた。どちらが組み敷く側なのか確認するための、いつものマーキングのような行為だ。ヴィズラと関係を持つ前まで未貫通だった肛門は、今や縦にぱっくりと割れて内側から桃色の粘膜を晒し、雄に媚びて、きゅ、っと吸い付く。雌孔に成り果てた媚肉を詰って、ヴィズラは満足そうにふーっと息を吐いた。
「早く、挿入れてくれ」
「そんなに俺のナニがほしいか」
 ひくついている孔から、ほしくてたまらないものが離れていく。
「お前こそ、俺のケツじゃないと満足できないだろう」
「お前だってそうじゃないのか?」
「俺がお前以外に抱かれると思うか?」
「俺だってお前以外は抱かない」
「…………」
「…………」
 互いに黙った。なんて間抜けなやりとりだろう……。
挿入れるぞ」
「ああ」
 ディンは腹の力を抜いた。挿入時の圧迫感が強くなると、内臓を押し上げられるような鈍い感覚がじわじわとせり上がっていく。肉襞を轢き潰し、ヴィズラはぴっちりと閉じた肉壁を抉じ開けて奥へ進んでいく。すっかりヴィズラの形に慣らされた隘路は攣縮して、待ち侘びた灼熱を受け止めた。
「キツイな……ナニを喰いちぎられそうだ」
 ヴィズラは熱っぽく溜息をついた。肉幹が半ばまで埋まったところで抜き差しがはじまった。潤滑剤のおかげで滑りはよかった。
「おっ、あ、あ、ぁ」
 短いストロークで抽迭が繰り返され、甘ったるい快感がディンの全身に広がっていく。神経が集中している孔の縁を、エラが張った亀頭が削り取るように擦り上げ、男の泣き所である前立腺を突き上げる。
「おっ、んっ——あ、やめ——やめろっ」
 敏感な部分を責め立てられて、ディンは身悶えた。前立腺を刺激されて、怒涛の極致感に呑み込まれた。目の前で閃光が弾け、不随意に総身が強張り、脱力し、喉の奥で息が詰まった。
 ヴィズラは腰を止めた。「ケツでイったのか」
腹の上で萎えているディンの性器からはなにもでていないのを見て、ヴィズラはせせら笑った。
「……イってないっ……!」
「強がるな」
 ヴィズラはさらに身を乗り出してディンにのしかかった。むっちりとした小振りな尻が持ち上がる。ヴィズラは天井を向いた孔に自重で沈み込み、ゆっくりと腹の奥を割っていった。
「お”っ……おぉ……、っ、ぅ……」
 拡張した孔はヴィズラの凶悪な一物をほとんど根元まで受け容れ、肉体が嵌合した。重量感があるピストンが腹の内側に叩き込まれ、ディンの尻たぶとヴィズラのぱんぱんに張った睾丸がぶつかり合って、生々しく重い破裂音がコフィン・ベッドにこもった。
「っは、ぁ、お——奥っ、奥は……だめだ、あっ」
「だめ? いいの間違いだろう?」
 最奥にあるディンの最後の砦である結腸をブチ抜こうと、ヴィズラは腰を浮かせ——一息に最奥を穿った。
「…………!」
 突破されてはいけない臓腑の窄まりが強引に押し開かれる。滑らかな窪みに深く食い込もうと、ヴィズラはさらに腰を沈めた。
「ぁ——」
 繋がった部分が隙間なく密着して、どちゅん♡と結合部が鳴った。
「~~~~~~っ!」
 ヴィズラの腹の横から突き出ていたディンの足の先がピンと張る。鋭い快楽のナイフが脳髄に肉薄し、ディンの理性を切り裂いていく。シナプスが弾け、ヴィズラとのセックスでしか得られない強烈な法悦エクスタシーが全身を支配する。吸い込んだ空気が喉の奥でひゅっと鳴った。突破された結腸の窄まりを捏ねくり回すように突かれ、獣の咆哮のようなディンの濁った声がヘルメットから漏れた。
 ヘルメットの内側で、ディンの顔は生理的な涙と止まらない鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。緩んだ顎には力が入らず、泣き声のような喘ぎ声を止められない。沸点に達した時の感覚がずっと続き、ペニスからは、小便のように生温かい体液が間歇的に噴き出ている。射精感とも排尿感とも違う感覚に、ディンは混乱していた。俺はイったのか……?
 円を描くような腰使いから、射精に向けた本能的な腰使いへと変わる。子種をディンに植え付けるためのものだ。結腸の窪みをぐぽぐぽ♡突かれ、抉られ、ディンの目の前では火花が散っていた。
 ディンの鈴口から漏れ出ていた体液がようやく止まったが、イかされたあとも、甘イキしたままだった。ヴィズラという雄に征服され、肉体は完全に雌として理解らせられていた。
 夢心地の中で、ディンは鼻を啜ってヴィズラの腋の下からなんとか腕を伸ばして、背中にしがみ付いた。
「……っ、締め付けるな、俺までイきそうになる」
 巨躯でディンを押し潰し、腰だけを動かしながらヴィズラが吼えた。
「……早漏」
 ディンはまた強がってみせた。自分ばかりイかされてばかりで悔しかった。
「……いったな」
 ヴィズラが低く唸り、腰を止めて、引いた。体内を埋めていた質量が去る。
「うしろを向け」
 居丈高な物言いに、ディンはフンと鼻を鳴らす。「向いてほしいか?」
「どうした? イきすぎてへばったか?」
「まだ物足りないくらいだ」
 ディンはのろのろと起き上がり、四つん這いになり、つがいを見付けた雌がそうするように、尻を持ち上げた。
 ヴィズラの掌が、魅惑的な曲線を描くディンの腰を掴んで引き寄せた。尻たぶが左右から引っ張られ、否が応でも孔がくぱぁ♡と口を開けた。いやらしい光景を前に唾液と劣情を飲み込み、ヴィズラは腰を突き出した。反り返った肉棒は、再び肉壁に迎え入れられた。
「……っ、う、ん……」
 ディンはシーツを鷲掴みにした。角度をつけた陽根が、やや下向きの臓腑の隙間に合わせてみっちりと埋まっていく感覚は、正常位で挿入する時とは違うものだ。やがて、ヴィズラの下生えとディンの尻たぶが密着した。シーツを握る手が力んだ。獣が種付けをする時と同じ体勢……。律動に合わせてディンの身体が揺れる。腰使いは最奥を突くだけの動きなのに、たまらなく気持ちがいい。理性がまた吹っ飛びそうだ。
「っ、ぅ……ダンク・ファリック……!」
「貪欲だな……結腸が吸い付いて離そうとしない。ぐ、止められん……射精すぞっ」
 睾丸に溜まった精液をディンの最奥目掛けて注ぐため、抜き差しがいっそう荒々しいものになる。ディンは、ヴィズラに荒々しく抱かれるのも嫌いではなかった。マンダロリアンの教義に最も忠実で勇ましい戦士でもあるこの男が、性欲という浅ましくも抑えがたい本能を飼い慣らせていない姿を見ることができるのは、悪い気分ではないからだ。思い返せば、若い頃——それこそ成人する前——好奇心と衝動的な若い性に振り回されて、お互いの勃起した一物を手で扱き合って、勢いと流れのままにセックスをした時も、俺の名前を情けない声で呼んでへこへことみっともなく腰を振っていたっけ……。
「……ジャリンッ……」
「……っ、ぅ、……!」
 あの頃のような初々しさが爆発し、腹の奥で男の本能がどくどくと脈動した。びゅるびゅる♡と、間歇的に溢れ出る精液がたっぷり注がれている。ヴィズラの射精は長い。最後までディンの奥へ真っ白な熱を移したあとも、さらに奥へと注ぐように腰を小刻みに揺する。男と男の交わりでは子は成せないのに。
 ぬぽん♡と抜け出たヴィズラのそれは、まだ勢いを失っていなかった。ディンの孔もまた、物欲しそうにひくついている。体液に塗れた股座から、むわあっ♡と精のにおいが立ち上る。全身を小刻みに痙攣させ、ディンは腹に力を込めた。
 ぶびゅっ♡♡
 媚肉から白濁汁が音を立てて溢流して、筋を描いてディンの内腿を伝い落ちていった。
 ディンはゆっくりと身体を横たえた。ヴィズラが覆い被さってきて、ヘルメットが引き合って、唇の辺りが触れ合った。噎せ返るような官能が、柔らかな親しみに塗り替えられていく。もう一度セックスをして、今夜はここで眠ろう……。ディンは胸を満たす熱情のままにヴィズラの名を紡ぎ、彼のヘルメットを引き寄せた。