Side by Side

 グローグーはすっかり子供たちの輪に加わっていた。今も誰かからもらった果物を両手で抱きかかえたまま、追いかけっこをしている。食欲旺盛といっても、やはり、まだまだ遊びたい盛りなのだ。小さな歩幅で子供たちに追いつこうと一生懸命走るグローグーを遠目に眺めながら、ディン・ジャリンはヘルメットの下で相好を崩していた。
 グローグーが勢いよく転んだ時、ディンは思わず立ち上がったが、グローグーはすぐにすくっと起き上がり、転がった果物を拾い上げて、何事もなかったかのようにまた走りはじめた。
 ほっとして岩場に腰を下ろすと、 隣で同じく子供たちを眺めていたパズ・ヴィズラが笑った。「子供の頃のお前と同じだな」
「というと?」
 ディンは首を巡らせてヴィズラを見た。
「お前もあんな風にすっ転んで飯をひっくり返したことがあっただろう」
「覚えていない」
「俺は覚えている。お前が誓いを立てて間もない頃だった。昼飯を全部ひっくり返したんだ」愉快そうに小さく肩を揺らしてヴィズラは続ける。「とぼとぼ歩くお前の姿を今でも覚えている」
「あの頃は、まだ慣れていなかったからな」
 子供の頃の失敗談に、ディンは苦笑する。ヘルメットに慣れるまでは、よく転んだりしていた……。
「成長したんだ。俺も。もちろん、お前も」
「年を取ったの間違いだろ」
 ヴィズラが身じろぎしてディンの方へ顔を向けた。ヘルメットのバイザー越しに視線がぶつかって、どちらが先というわけもなく小さく笑った。妙に懐かしくなった。お互いあの時は護られる存在だったのに、今では揃って子供の世話をしている。父親になったのだ。
「お前のところの孤児、昨日なかなか寝付かなかっただろう」
「ああ」
「そういう時は本でも読んでやれ。喜ぶ」
「……経験か?」
 ディンの問い掛けに、ヴィズラはフンと鼻を鳴らしただけだった。
 グローグーとラグナーが駆け寄ってくる。ディンはグローグーを抱き上げ、ヴィズラはラグナーを膝に座らせた。