恥辱

※崋山さんに劣情を抱いています。デカパイ絞りたい。えんててのなんかすごい力で乳出るようになれー!ゆるい触手責めチックな描写とかあります。

 崋山の怒りを買ったのは、霧の森に現れて間もない小さな人形だった。
『グッドガイ人形』と呼ばれるその玩具は、崋山の膝下にも満たない大きさだが、その内側には、一九八〇年代にアメリカ中を恐怖に陥れた殺人鬼であるチャールズ・リー・レイの邪悪な魂が閉じ込められている。
 チャールズ・リー・レイ——〝チャッキー〟は愛らしい見た目とは反して、素行が悪く、口が悪い。誰であれ中指は立てるし、品のない言葉を平気で吐く。卑猥な話と罵詈雑言のオンパレード。反りが合う殺人鬼もいれば、眉を顰める者もいる。
 崋山は後者だ。チャッキーは、食事の場で彼の誇りを傷付けること——それはもう酷い侮辱だ——を口走った。
 激昂した崋山は獣のような唸り声を上げ、全身から闘気と殺意を漲らせて、金棒を手に、丸太にちょこんと腰掛けるチャッキーに迫った。
 霧の森に生きる殺人鬼たちの間で禁忌とされていることがある。それは「同士討ち」だ。同胞に対して武器を向けることは決して許されない。破ればエンティティによって存在を消される可能性もある。
 チャッキーは崋山の一撃を間一髪のところで避けたが、金棒が丸太をへし折った衝撃と振動で軽い身体は吹っ飛ばされ、尻餅をついた。
「危ねえな!」
「人形! 素っ首ごと叩き潰してやる!」
「おいおい、サムライにはジョークは通じねえのかよ! 俺のナニが縮こまっちまった!」
 崋山の鋭い眼光に射抜かれ、チャッキーは肩をすくめてキンキン声で叫んだ。
 数人の殺人鬼たちが怒りに震える崋山を止めようと駆け寄ろうとするが、『鬼の山岡』と呼ばれた男の「寄るな!」怒号に足を止めてしまう。
 金棒が振り上げられた時、夜の帷が震えて、濃霧が立ち込めた。異様な気配が当たりを包む。その場にいた殺人鬼たちは、心臓を鷲掴みにされるような感覚を覚えた。
 虚空が裂けて——エンティティの爪が現れた。
「なにをしている」
 エンティティの声は、複数の言語が重なったものだ。聞き取れないものもあれば、はっきりと認識できるものもある。殺人鬼たちは、自身が聞き取れる言語だけを聞く。
 虚空から複数伸びてきたエンティティの黒くぬらぬらとした爪が、崋山の腕と金棒に巻き付いた。
 霧はますます濃くなって、なにも見えなくなる。
 霧が晴れた時、崋山の姿は消えていた。

 なにかが肌を這う感覚がして、崋山の意識は泥濘から掬い上げられた。
 最初に視界に飛び込んできたのは、見覚えのある朽ちた畳だった。
 崋山は、瞬時にこの場所が山岡家が代々受け継いできた土地であり、子孫たちの生家であることに気付いた。
 同時に、吊し上げられていることにも気付いた。
「……ぐ」
 首をなんとか巡らせる。鬼の面の視孔から見えたのは、エンティティの触手のような爪だった。太さが異なるものが何本も天井から伸びていて、胴体や四肢、首にも巻き付いていて身動きが取れない。抵抗すればするほど、きつく締め上げられた。
 箱庭の主は、己が禁忌を犯したことに対して立腹している。
「わしを殺すか……」
 崋山は喉の奥から声を振り絞った。このままでは、首を折られるか、窒息するかのどちらかだろう。
「殺さない」
 首の拘束が緩んだ。新しく伸びてきた何本もの細い爪の先が、纏っている鎧の隙間に潜り込んだ。
 爪は生き物のようにくねり、股間を弄っている。
「なにを——よさぬか」
 決して外れない鬼の面の下で唸る。足掻くこともできないまま、やがて素っ裸にひん剥かれた。
 エンティティは、剥き出しになった尻の輪郭をなぞるように爪を這わせた。筋肉が詰まり、張り詰めてはいるが、歳のせいで弛みはじめた臀部を……。足の間を見ると、陰茎が重力に従って垂れ下がっていた。屈辱で頭に血が昇るが、歯を強く食いしばることしかできない。武士にとって、恥は耐え難いものだ。
 脂肪のついた胸部を横から押し上げられたかと思うと、三又に分かれた爪——というよりも、まるで手のようだ——に鷲掴みにされた。爪の先が左右の乳首を摘む。痛みはなかったが、先端から白い液体がぴゅるっと噴き出た。
「…………!?」
 母親が赤子にやる乳が男である己から出たことに驚き、思わず胸元を凝視する。こんなことはありえない。
「堕落し、善がれ」
 エンティティの声に肌が粟立つ。崋山は混乱した。胸筋を揉まれ、乳は次から次へと漏れ出た。ぷっくりと芯を持った乳首は、エンティティに詰られることを喜ぶように浅ましくつんと尖って主張している。
 乳の先が疼き、下腹部が急に熱を持ちはじめ、崋山はますます混乱した。
 大きな爪が尻のふたつの盛り上がりを掴み取って外側へ引っ張り、別の爪が中央の窄まりを撫でてきた。クソをひる孔に触れている爪だけは、妙に柔らかく湿っている。その爪は、ぬるりぬるりと滑りながら孔を撫でた。
「はっ——離さんかっ!」
 萎えた陰茎を包み込まれ、扱かれた。その間も孔を執拗に捏ねられる。
「ぐ……!」
 爪はやがて孔に潜り込んだ。ずぽすぽと粘っこい音を立てながら規則的な動きで抜き差しをされた。爪が引いた時の感覚は排泄時と同じものであるはずなのに——未知なる甘美な痺れが華山を責め立てた。
 爪は奥へと進み、男の体内をさらに拓いていく。
 股間では扱かれた愚息が射精するために膨らみ、硬さを得て、与えられる刺激を待ち望んでいた。
 されるがままに辱められた。
 孔を埋める爪が四方の肉襞を逆撫でして退き、浅い場所を捏ねくりまわし、一息に奥まで突き入れられる。それを繰り返されるうちに、崋山の腹はより深くにエンティティを迎え入れてしまっていた。骨盤の内側にたしかに感じる熱は、手に負えない。
「……お”っ、ぐっ……っ、ぬうぅ……!」
 屈辱に歯を食いしばるものの、身体に力が入らなかった。
 勃起した陰茎には、強弱をつけた摩擦が続く。鈴口に細い爪の先が挿入され、掻き回された時、全身が硬直して、どっぷりとした勢いのない濃い子種が溢れ出して亀頭を濡らした。
 総身の筋肉が緩んだ一刹那、孔を弄っていた爪が勢いよく動きはじめた。抉るような容赦ないピストンに、崋山は悲鳴じみた声を上げた。爪と分厚い尻たぶがぶつかって、生々しい音が弾ける。
 気持ちがいい——感じているのが快楽であることに気付き、崋山は濁った声で喘いだ。頭の中で火花が散り、目の前が真っ白になる。
 柔らかな粘膜の奥にある結腸——決して踏み込まれてはいけない体内の最後の砦——エンティティはそこを突破した。
「〜〜〜〜っっ!!」
 途端に股座が熱くなり、勃った肉棒から再び白濁が溢れる。しかしそれは先ほどの射精感とは違った。腹の底に溜まっていたどろどろに煮詰まった劣情の一部が押し出されるような感覚だった。
 不意に吊り下げられていた身体が反転し、仰向けにされ、足を大きく開く格好にさせられた。孔にあった爪が抜け落ちて、今度はエンティティの太く長い爪——それはまるで黒黒とした魔羅のようだった——が太もものあわいに割り込み、入れ替わるように挿入された。
 男と異形の結合部が丸見えになり、崋山は顔を顰める。
「んっ、ぐっ……!」
 異形とのまぐわい。陵辱……崋山は声も出せずに気を失いそうになった。抜き差しに合わせて、腹に載った勢いをなくした性器がみっともなく揺れている。
 なんとか指を動かすが、掴んだのは虚空だった。
「っ、あ、ぐっ、あ、ぁ、に——二度と、あのっ、ようなことはせぬっ……」
 崋山は途切れ途切れに懇願した。下腹部にあった淫らな灼熱が、背骨に絡まって脳天まで迫り上がってくる。
「反省したのなら、それでいい」
 エンティティの囁きに崋山は安堵したが、ピストンは止まらない。
「離して、くれっ」
 体内で、浅い場所に止まった爪が腹側に向けて折り曲げられる。爪は、腹の内側にある弾力のある前立腺を押し上げた。その瞬間、崋山の太い首が反った。得もいわれぬ強烈な極地感に襲われ、腹が痙攣し、息も絶え絶えになった。
「言ったはずだ。堕落し、善がれと」
 エンティティは崋山が感じている恥辱以上の禁断の快楽と背徳感を食らい、喜んでいるようだった。

 腹の底が疼き、腰回りが重くなるのを感じ、崋山は俯いた。
 夜な夜なエンティティとまぐわううちに、昂りを堪え切れなくなった。そのことを崋山は恥じている。だが、霧と夜を統べる主君はそれをよしとしている。
 今夜も崋山は主君と褥を共にする。秘密と官能は、熟れた桃のような芳香を放っている。