おやすみなさい

 今夜はあたたかい夜だった。

 夜風に当たりたくなって、蛇たちをつれて物見台に登った。

 ミツマタは物見台に来たのがはしめてだった。

 首に緩やかに巻きつきながら「星がよく見えますね」と双頭を擡げて興奮気味に言った。

 彼は少し重くなった気がする。また成長したらしい。

 寝転がると、蛇たちは各々周りでリラックスしてとぐろを巻き、ミツマタは腹の上によじ登ってきた。

するりと胸まで這い、こちらを見詰めるミツマタの視線は熱烈なものだった。

「どうしたんだ?」

「こうしているとべビン様の胸の鼓動や息遣いを感じられるので、嬉しいのです。まるでひとつになったみたいに思えます」

 ずいぶんと可愛いことを言う。

 見つめ合ったまま、指先でミツマタの顎の下を掻いてやる。

「少し眠るといい」

「はい。べビン様も」

 長く太い身体をうねらせると、ミツマタは腹の上で縦長の瞳孔に星空を映したまま眠った。

 腹に乗る重みが心地よかった。