「なぁ、エヴァン」
胡座を掻き、黙々とトラバサミの手入れをしていると、背中に重みを感じ、耳元で退屈だと言わんばかりの声がした。
「なんだ」
手元のトラバサミに油を差しながら返す。「ムラムラすんだけど」と、やはり、退屈そうにフランクは言った。
「抱いてくれよ。アンタのチンポを奥までハメて」
「そういう品のない言い方はやめろ」
「え? じゃあなんて言えばいいんだよ。エヴァンさん、あなたのご立派な一物で俺のアナルを突いてくださいとでも言えばいいのか?」
「フランク」
身じろぎをして丸めていた背中を伸ばすと、フランクは首にしがみつき、のしかかったまま「ムラムラすんだって」もう一度言った。
「手入れが終わったら抱いてやる」
「ヤダ、今すぐ抱いてくれよ。ガキだから待てない」
普段子供扱いすると怒るくせに、都合のいい時だけ子供になる。
溜息を吐いて、手を止めて油の入った容器を置く。手入れをしないといけないトラバサミは、まだ3つある。
「な、エヴァン、いいだろ。しよ?」
甘えるようにフランクは囁き、ゆっくりと離れた。
「アンタインポになったわけじゃないだろ?」
こいつはいつも一言多いな。
ジーンズと下着を手早く脱ぐと、フランクは折り曲げた足を開き、平たい腹に組んだ手を置いた。
ウェーダーの肩口の留め具を外し、足元に落とし、下着を下ろす。一物はまだ萎えたままだから、扱いて勃起させないといけない。引き締まったフランクの足の間に身体を割りいらせ、自分よりずっと小さなペニスと小振りな睾丸を見下ろし、唾液で湿らせた指を、フランクの窄まった肉の門にあてがい、ほぐしていく。
「おっさんの指、気持ちいい……。まだ挿ってないのにイきそうになる」
男の本能を何度も受け容れてきた孔はすぐに指を飲み込み、ぐちょぐちょにぬかるみ、ほぐれていった。ケツをほじられて、フランクは勃起した。
「エヴァン、もう、ほしい……挿れて……❤︎」
フランクは足を大きく開いて尻を浮かせ、両手でくぱっ❤︎と孔を拡げて肉色の粘膜を見せつけてきた。男を求めてひくひくと収斂する孔を見て、腹の底でぐつぐつと劣情が煮えていく。この孔が貪欲に昂りを締めつけ、体内が子種を求めて蠢くのを知っている。フランクの体内の奥の奥まで慣らしたのはこのオレだ。
片手でゆるゆると扱いて間もなくして、性器は血管を浮かせて勃ち上がった。そそり勃ったオレのものを見て、フランクがごくりと唾を飲み込むのを見逃さなかった。
先走りを漏らす先端を孔に押し付ける。フランクが歓喜の吐息を零すが、まだ挿れてやらない。焦らすように、会陰から睾丸、そして竿まで押し上げるように幹の裏側を擦り付ける。ぶつかりあった不揃いの肉の幹がぶるんと揺れる。フランクのナニは可愛らしい。
「エヴァン……焦らしちゃ……やだ……」フランクは切なげな声を上げた。「エヴァン……早くほしい……❤︎」
返事をする代わりに、お望み通りにナニを挿れてやる。狭い肉壁を押し開いて一息に根元まで突き入れた。
「おっ……❤︎すげ……❤︎」
身体を痙攣させるフランクの頭の横に手を突き、ぬめる体内の感覚と締まる直腸の攣縮を確認するようにぐりぐりと腰を押し付ける。相変わらず締まりがいい。
「動くぞ」
体格差を配慮して、ゆっくりと腰を引いて、慎重に突き出す。以前のセックスから間が空いたが、ぴっちりと閉まったフランクの中を、またオレの形にしてやろう。浅い場所を雁首で削り取るように腰を揺すると、フランクは甘ったるい悲鳴をあげた。
「入口……擦っちゃダメ……❤︎気持ちいい……❤︎❤︎❤︎」
腹の内側をこねくりまわすように腰を動かし、不意に奥まで一気に貫くと、そこからフランクの声は止まらなくなった。容赦なく攻め立てる。結合部がぶつかり合って重々しい音が弾け、フランクの悦に震える声に被さる。
「エヴァンのチンポ❤︎すっげ❤︎❤︎奥あたってる”っ”……❤︎❤︎❤︎」
窄まった臓腑の奥を抉れば、フランクは濁った声を上げて背中を仰け反らせた。組み敷いた身体を抱き抱えるようにして上から押しつぶすようにピストンを重ね、大人の本気のセックスというものを身体に教え込んでやる。
「イ”ぐっ、ケツハメられてイ”ぐっ……❤︎❤︎❤︎死んじゃう❤︎エヴァンっ……❤︎❤︎」
「オレがインポじゃないのがわかったか?」
「ごめんなさ……っ❤︎もう、煽ったりしないからァ❤︎エヴァンのチンポすごい❤︎オレの事っ、エヴァン専用のオナホにして❤︎❤︎」
「そんな扱いしねぇよ」
腰を打ち付けながら、半年前にフランクから好意を告げられたことを思い出す。アンタのことが好き、と言葉を詰まらせながらフランクはそう打ち明けてくれた。情熱的でストレートな言葉に偽りはなく、そのまま、所謂恋人同士――フランクにはジュリーがいるが、カノジョではなくオレはカレシだからいいというよくわからない基準で――になった。
だから、強引な真似は絶対にしない。
「あっ、またイく、イっちゃう❤︎エヴァン大好き❤︎❤︎」
脇の下から背中に回ったフランクの腕が力み、ぎゅっと抱きしめられた。
「オレもイきそうだ」
息を乱す。沸点が近い。快楽のままに腰を揺さぶった。
「あうあうっ❤︎❤︎❤︎」
全身を強張らせて、フランクは絶頂した。腹の上で動きに合わせて揺れていた一物からびゅるびゅると白濁が飛び散った。
「〜〜〜〜っ、出すぞ」
ぱんっ、と一際大きな音を立てて、睾丸が張った尻たぶに密着する。目の奥で火花が弾けた。フランクの最奥に、一滴も余すことなく精液を注ぎ込む。
「あっ❤︎出てる……❤︎アンタのザーメン……いっぱい出てる……❤︎」
出したばかりの精液を肉壁に塗り込むように浅く抜き差しをして、ゆっくりと腰を引く。亀裂から勢いを無くしたナニがまろび出たあとも、足をガニ股に開いたまま、フランクは放心していた。
栓が抜け、拡張した孔から、逆流した精液が溢れ出てくる。どろどろとした青臭いそれはフランクの尻を濡らし、訪れた事後の倦怠感すら白く染め上げた。