サングラスの琥珀色をしたレンズの向こうでゆっくりと瞬く眸は、ホープカウンティの冬空を思い出させるくらい純然と澄んで、それでいて奥には霜天の乏少な太陽のように、慈悲が鈍く輝いていた。
皆、まず、ジョセフ・シードのこの魅力的な眸に惹かれるのだろう。それから、人を安心させる穏やかな口調と、聴覚器官から直接脳に流れ込むような低く滑らかな声に魅惑されるのだ。
そして、一度囚われたら離れられない。
「その目が嫌いだ。俺を見ないでくれ」
ジョセフの視線から逃れるように顔を逸らして吐き捨てる。
それでも、彼の視線を感じてしまって居心地が悪い。
世界の終わりを迎えてしまってからは、侘しいこのバンカーだけが居場所だった。彼とふたりきり。逃げ場はない。息が詰まりそうだった。
「私は君の目が好きだ。凜乎とした君の意志の強さをまなざしに感じられる。眸の色も……」
「少し黙っててくれ、うんざりだ」
たまらず声を張り上げる。
ジョセフは動じることなく「そうか」とだけ言った。
「君のその眸が私に向けられる日が必ずくるだろう。近い将来、必ず」
「どういう意味だ」
弾かれたようにジョセフを見やる。彼はもう、俺を見てはいなかった。