逆さまになった視界にジャギィノスが映る。遠くにいる癖に、威嚇のつもりか、ぎゃあぎゃあと鳴いては此方を見ている。
いつもなら槍で突いてやるのに、今はただ、お願いだから見ないでと願うばかりだった。唇を噛み締めてきつく目を瞑る。耳元で荒々しい息が吹き掛けられ、首筋にぬるりと分厚い舌が当たる。
――真昼の渓流で、私は何をしているのだろう。
アオアシラを討伐する筈だったのに、今はそのアオアシラに辱しめられているから笑いたくなる。
渓流の奥地でアオアシラに挑んだものの、アオアシラが暴れだし、蜂の巣を壊し、真下にいた私は蜂蜜を頭から被った。
態勢を立て直そうと川に逃げたのがいけなかったのか。
留め具のひしゃげた防具と、中身がぶちまけられた空のポーチはすぐ手の届く位置で水に浸っていて、なのに盾と槍は彼方にふっとんでいて、下着は裂かれて……ああ、もう死んでしまいたい。
アオアシラは私の身体に染み付いた蜂蜜の甘い香りに、すっかり闘争心が消え失せたらしい。
今は夢中で、私を舐めている。
生臭い息と獣の臭いに、息が詰まる。
「はっ、あっ」
苦悶の表情を浮かべれば、アオアシラはぐるぐると喉を鳴らして息を荒げた。 鋭利な爪は身体に細く赤い筋を残していく。べたついた琥珀の液体は裸体を滑る。乳房に顔を埋め、アオアシラは唸る。ちくりとした体毛が肌を擽る。
厭な筈なのに、乳首は尖り、喘いだ。 情けない。
実に情けない。
「や、やめて」
アオアシラを刺激しないようにうつ伏せになって必死に身体を丸めようとした。
アオアシラの口端から垂れた蜂蜜が背中に滴り、尻から太股に流れた。
アオアシラはただ蜂蜜を舐めたいだけだ。だから、蜂蜜が私の身体の何処で眩しく光っていようと関係ない。
アオアシラが私の腰を掴んだ。顔が性器をまさぐり、蜂蜜を求め舌が蠢いて、胎内を突いた。
言葉が出なかった。
アオアシラの舌は乱暴に肉壁を分けて、私の奥を探った。
逃れる事も出来ず、私は悶える。
四肢に力が入らない。
口からは矯声が出た。
アオアシラも興奮したか、鼻を鳴らして舌を動かした。
体液と唾液が混ざって、淫猥な音が跳ねる。
「…んぁ、ああっ…!」
がくがくと腰が震えた。
だらしなく開いた口から唾液が垂れる。
屈んでいたアオアシラが腰を上げた。 必死に首だけで振り返れば、足の付け根の辺りで、白い体毛を割って、ぬらぬらと光るアオアシラの性器が覗いていた。
それから容赦無く、アオアシラは男を知らない胎内に侵入した。振動と共に身体が揺れる。
やめてと叫びたかった。
痛みと涙で視界が歪む。
「いやっ、ああ!ひぎ、いっ…!」
無茶苦茶に揺さぶられ、意識が飛びそうになった。肉が重なる音が益々羞恥を煽る。
欲のままに腰を振るモンスターの性器は、私の最奥を刺激し、理性を痺れさせる。
軈て律動がゆっくりとしてきて、不意にアオアシラがぴたりと動きを止め、咆哮を上げ、胎内で熱いものが流動した。
性器が荒々しく抜かれ、濁液が股を伝う。血と混ざって、地面に吸われた。
アオアシラは鼻息を大きく吐き、私の太股を舐めて、巨体を揺らし乍、何事も無かったかのように渓流の奥地へと消えた。
痺れた頭で、懸命に防具を引き寄せる。
ジャギィノス達が私を嘲笑うように小さく鳴いて、滝の向こうへ走り去って行った。